外出先での災害を考える|女性はヒールを折れば帰宅できるか

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近年、東日本大震災、熊本地震など、地震による被害が続いています。

テレビでも災害関係の番組が多く放送されるようになり、インターネットでも災害に関する情報が増えてきており、こうしたことにより、国内での防災意識が格段に高まってきています。

しかし、非常食などの備蓄や持ち出し品の準備、家具の転倒防止など、備えの大半は「家庭」に留まっており、残念ながら外出先で災害にあった場合について具体的にイメージできている人は少ないのではないでしょうか。

女性は男性よりも帰宅困難者となりやすい?

首都直下型地震、南海トラフ大地震では、都市中心部で大きな被害が発生することが予想されます。

さて、あなたが昼間、こうした都市部にいるときに大地震が発生したと仮定します。

交通機関はストップし、復旧のめどは立ちませんが、幸いなことに、自宅はあなたが歩いて帰ることができる距離です。

しかし、同じように歩いて帰る人で道は溢れ、道路には瓦礫やガラスが散乱し、かなり歩きづらく、信号も止まっているため、車両との事故にも気をつけなければなりません。

ここで、外出先であなたが履いている靴を思い浮かべてください。

男性なら革靴、スニーカー、女性ならパンプス、ミュール、季節によってはサンダル、ブーツ・・・。

革靴でも長時間歩くのは楽ではありませんが、革靴やスニーカー、ヒールのほぼないペタンコな靴であれば、普段の2倍、3倍の時間がかかっても自宅に辿り着くことができそうですが、ヒールのある靴で瓦礫の山の中を歩くことは相当な危険があることは容易に想像できます。

つまり、ヒールのある靴を履いている可能性が高い女性の方が、男性よりも帰宅困難者になりやすいと言えるわけです。

救世主!ヒールを折る

とは言え、いつ起こるかわからない災害に備え「ヒールのある靴は履かない」というわけにもいきません。

お勤めの方であれば、会社にスニーカーなどを用意しておきたいところ。しかし、会社を出たところで地震が起きれば履き替えることは困難になってきます。

こうしたヒールのある靴の危険性は以前から指摘されており、テレビ番組やネットでは、その対策として「災害が起きたときにはヒールを折る」ということが取り上げられており、これは防災関係の書籍でも推奨されている対策です。

「なるほど。ヒールを折ればいいんだ!」

検証:実はヒールは簡単に折れない

でも、ヒールって簡単に折れるの?どうやってできるの?と疑問が湧いてきます。

ヒールも様々な高さや形がありますし、どの靴のことを言っているのか、またどうやって折るのでしょうか。

ヒールを故意に折ったことのある方は少ないと思います。

「折ってください」と言われてもどうやって折っていいのかわかりません。

そもそも「ヒールを折る」というのはピンヒールとまでは行かないまでもある程度高いヒールのパンプスのことをイメージしての情報だと思います。

しかし、ヒールの形状は様々ですので、女性防災士としては実際はどうなのか気になるところ。そのため、今回複数のヒールタイプの靴で検証してみました。

一般的な中・高ヒールの場合

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おそらく、災害時の移動の際にはヒールを折ってくださいというのはこのような一般的なパンプスであり、その中でも中・高ヒールのことをいっているのだと思います。

まずはヒールを折ってみようと靴を手に持ち靴底を地面に叩きつけるなどし、10分ほど四苦八苦しましたが、ヒールは折れませんでした。

手の力では無理なのかと思い、今度は靴を履いて踵部分を地面に叩きつけてみましたが、足が痛いだけでやはりこれでもヒールは折れません。

今度は道路の端にある側溝の蓋の間の穴にヒール部分を入れ、てこの原理で折ろうとしましたが、無理でした。

力が足りないのか?工夫が足りないのか?どうしてもヒールを折ることはできませんでした。

中・高ヒールだが前が厚底の場合

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ヒールのタイプとしては、中・高ヒールですから、ヒールとしては先ほどと同じです。

残念ながらこちらも何度やってもヒールを折ることはできませんでした。

さて、仮にヒールが折れるとしたら途中でポッキリ折れることは想像しにくく、根元から折れるのだと思います。

このタイプの場合、注目してほしいのはつま先近くです。

ヒールが高いためか少し厚底になっています。

ヒールを折った場合、平坦になるのではなくこの厚底部分があるために歩きにくい状態にしかなりません。

ウェッジソールの場合

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ウェッジソールなどの場合は、鋭く出っ張りがあるわけではないので、折るということは形状的に困難です。

一般的なパンプスのようなタイプに比べ、安定性はありますが歩いて帰宅するのは困難だと思います。

ローヒールの場合

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画像の靴はローヒールの中でも高めのヒールで一見折りやすそうですが、他と同じくこの場合もヒールは折れませんでした。

ローヒールの場合、ヒールは折るべきかどうかはまたその中でも高さや形状によって判断が分かれます。

ローヒールと言っても画像の靴のような高さがあった場合、歩いて帰るのは困難に思います。しかし、ペタンコではないけれど、ヒールがかなり低い場合、歩く距離によってはそのまま歩けるかもしれません。

自宅にたどり着くために

複数のタイプの靴で検証しましたが、ある程度高さがあるヒールでも折ることはできませんでした。

折るためのコツがあるのかもしれませんが、単純に「ヒールを折ればいい」という知見だけでは危険だということは確かでしょう。

「ヒールを折る」といった知見は重要ですが、実際に外出先で災害があった場合、こうした知見を活かしながら実際にどうするか、日頃からイメージすることが大切です。

例えば、距離的に自宅に近い通勤途上で災害にあったとします。

・たまたまヒールを折れれば、そのまま自宅に帰る
・ヒールがどうしても折れない場合は、距離は遠いが、比較的安全な道を通って会社に戻る
・ヒールも折れないし、ビルが倒壊しており会社へ戻るのも危険な場合は、近くの臨時避難(帰宅困難者を一時収容するように自治体と取り決められた商業ビルなど)に待避する。

など、どうしたら生き延びることができるかを知見と併せて考えてみましょう。

そして、助かるために必要となる知見(例えば帰宅困難者を一時収容する臨時避難所は各自治体のホームページから確認できます)はできる限り多く集めておきましょう。

★役に立ちそうな知見の例
・自宅への道順を複数確認する
・臨時避難所の位置を確認する
・(主な外出先の)自治体のハザードマップで災害の発生予想を確認する

もちろん、こうしたイメージ・トレーニングで100%助かるとは言い切れませんが、助かる可能性は格段に高くなります。

※今回ヒールに注目しましたが、つま先がオープンになっている、または底が浅すぎる靴は危険性が高いため、ヒールの有る無しに関わらず歩いて帰るのは危険ですのでご注意ください。

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